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院長ブログ

咬み合わせと眼科

 咬み合わせの不調和があると、さまざまな全身的な不調が引き起こされるという話はよく聞く。たとえば、咬み合わせがずれると、頭痛、肩こり、腰痛、下肢痛、うつ、めまい、難聴、耳鳴り、視覚障害、生理不順・生理痛、手の冷え、足の冷え、汗をかく、アトピー、アレルギー性鼻炎、花粉症、胃腸障害、便秘・下痢、四十肩、五十肩、などなど。しかし、これらの症状のうち、咬み合わせと関連するエビデンスの明確なものは、私のリサーチの限りでは、頭痛、肩こり、腰痛、下肢痛、うつ、めまい、難聴、耳鳴り、視覚障害までだ。これらは咬み合わせと関連することがしっかりとした学術雑誌に報告されている。生理不順、以降は、おそらく咬み合わせと関連するのは事実だろうが、今のところ国際的な学術雑誌を対象とした場合、これらの症状が咬み合わせと関連するエビデンスを報告した文献を検索できない。

 さて、今日はエビデンスがあるものの最後に挙げた視覚障害と咬み合わせとの関連性について書く。実は、これまで咬み合わせと眼科症状との関連性について報告した文献はあるものの、なぜ咬み合わせの不調で眼科的症状が起こるのかというメカニズムを解剖学的、生理学的に説明した文献の数はあまり多くない。最近、こういった点に焦点を当てたレビューが出たので紹介する(1)。ただし、この文献はややこしくて、読むのに時間がかかる。レビューであるから、多くの文献のそれぞれの要点を解説しているのだが、要は顎口腔系と眼科領域とは三叉神経で支配されているところに共通項があり、そこに両者が機能的にリンクする所以がある、というもの。三叉神経は運動神経でありながら、知覚神経の機能も併せ持ち、かつ自律神経系(交感神経および副交感神経)とも神経核を介してリンクしているので、三叉神経のネットワークは複雑極まりないが、この辺の理解が明らかになってくると、これまで自律神経失調で片づけられてきた、いわゆる不定愁訴(ふていしゅうそ)とされる悩ましい身体の不調が、現実に咬み合わせと関連して起こることが明確に説明可能になるので、やはりたとえ難解でも三叉神経の解剖学的、生理学的新知見の理解は重要だ。こういった三叉神経の重要性が深く理解されるようになると、やがて、顎口腔領域の専門家である歯科医師が自律神経失調症の治療に貢献できる時代が来る。

参考文献:

(1)Dental Occlusion and Ophthalmology: A Literature Review. Marchili N, Ortu E, Pietropaoli D, Cattaneo R, Monaco A. Open Dent J. 2016 Aug 31;10:460-468.  

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