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院長ブログ

サルコペニアと摂食嚥下障害

 先日、県の歯科医師会のセミナーで摂食嚥下障害について学んだので、摂食嚥下に興味を持った。今日のテーマは、サルコペニアと摂食嚥下障害だ。摂食嚥下障害の原因疾患のトップは依然として脳卒中だが、近年は社会の超高齢化に伴い、サルコペニアの摂食嚥下障害が注目されている。

 さて、サルコペニアの発症機序について考える良いヒントがある。それは、脳卒中など明らかな摂食嚥下障害を引き起こす疾患のない入院患者の約4割に接触嚥下障害を認めたとする報告だ。自分も入院経験があるが、入院すると先ず間違いなく運動不足に陥る。ベッドで寝るだけの生活だからだ。これは筋肉の廃用だ。経験から言っても、運動不足はサルコペニアの危険因子だといえる。

 さらに低栄養もサルコペニアの危険因子として知られている。低栄養だからサルコペニアになるのか、サルコぺニアだから低栄養になるのか知らんが、低栄養も間違いなくサルコペニアと関連している。一日中、寝たきりで、ボーッとしていたら腹もすかんでしょう。だから食べれないので、じきに低栄養になる。

 さて、摂食嚥下障害の治療だが、その基本は運動療法と栄養療法を併用したリハビリテーション栄養が考えられている。とにかく、入院しても早期離床させ、絶食期間を短縮し、物を食わせるべし。これって、サルコペニアの治療に限らず、良く運動し、バランスの取れた栄養を取ることは、健常者の健康の基本じゃんか。

 健常者においてはサルコペニアにならないよう、日常生活において、とにかく、動物の原点に立ち、ごぞごぞと絶え間なく動き、食べることに執念を持つべし。そして、不本意ながら、何らかの疾患にかかったら運動どころではないから入院するなり、自宅で療養するなりせざるを得ないが、その場合でも完全に機能停止しないように注意せよ、ということだろう。風邪をひいたときなど、体がだるいから、一日中寝込みたくなるが、そのような絶対安静的な状況は必要最小限にとどめ、とにかく活動を停止してはいけないのだ。重たい体を引きづって、無理をすべし。そのような気概が健康寿命を長く保つためには必要なんだろうな、と思う。

参考文献:森 隆志. サルコペニアの摂食嚥下障害.日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol.31 No.4 949-954.2016.

 

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