ホーム>院長ブログ>2012年6月

2012年6月

今日は下顎臼歯部のアストラテックインプラントに最終上部冠をセットしました。

20141227172136.jpg

 

 

  左下67相当部にアストラテックインプラントが植立されており、今日はインプラントの上にスクリュー固定式セラモメタル冠を装着します。 

 

 

 

 

20141227172148.jpg

  手順として先ず、インプラントの上部に、ユニアバットメント(スクリュー固定式の補綴物を受け入れるための介在構造物)をネジ固定します。

ユニアバットメントの下方はネジ構造を持っており、このアバットメントをインプラントの内部ネジ穴にねじ込む形で両者は強固に接続されます。
次に、そのユニアバットメントに対してセラモメタル冠を新たにネジ固定します。ユニアバットメントの頭部には内部ネジ穴が切ってあるので、上部冠を固定するためのネジを受け入れることが出来ます。

 

 

 

2014122717221.jpg

 

   上部冠が装着された状態です。

咬合面には、スクリューのアクセスホールが残りますが、審美性が重要でない部位ではスクリュー固定式はセメント固定式に比較して清掃性の面で優位性を持っています。 

 

 

 

20141227172214.jpg

 

 

  上部冠がインプラント体と正確に適合していることを確認するために撮影したデンタルX線写真です。 

 

 

 

 

ペリオドンタルメディシンについて

  20141227172433.jpg
   歯周病になるとなぜ骨が破壊されるのだろう?まず、歯周病原菌が歯周ポケットに感染すると、細菌毒素であるリポ多糖体(LPS)が周囲組織を刺激して炎症反応を惹き起こします。と同時に、LPSの刺激は一連の免疫系ネットワークを介して、免疫応答とよばれる生物反応も同時に惹き起こします。
そして、一連の炎症反応、ならびに免疫応答の結果、骨を吸収する能力を持つ破骨細胞が活性化されることにより、結果として骨の吸収が起こるのです。
  この破骨細胞の活性化の機序も最近明らかとなりました。破骨細胞の前駆細胞(破骨細胞に分化する前の細胞)の膜表面にはRANK(ランクと発音します)という受容体が存在し、この受容体にRANKL(ランクリガンドと発音します)という生理活性物質が結合することにより、そのシグナルが破骨細胞の核内にまで伝わり、破骨細胞に分化するシグナルがスイッチオンされる結果、破骨細胞が登場し、骨吸収が開始されるわけです。
 
  そして、このRANKLは骨芽細胞という、骨を形成する細胞の膜表面から分泌されて来ます。さらに興味深いことは、このRANKLの働きを抑え込むようにこれと競合して、オステオプロテグリン(OPG)という生理活性物質がRANKと結合する事実があります(RANKLを惑わせて、RANKではないのにRANKLと結合するので、RANKLのおとり受容体と呼ばれています)。つまりOPGはRANKLの働きを抑制するので、骨の吸収を抑え込む働きをします。このOPGは骨組織においては骨芽細胞やその前駆細胞から産生されます。骨芽細胞は破骨細胞を活性化させる働きをする一方で、破骨細胞を抑制する働きをも同時にしていることは興味深い点です。
 
  さらに興味深いことは、OPGは骨組織に限らず、肺、心臓、腎臓、肝臓、胃、腸、脳、脊髄、甲状腺など、多くの臓器に認められることです。これらの臓器に置けるOPGの役割はまだ不明ですが、この事実は、OPGは骨の代謝に限らずいろいろな臓器における生物学的イベントのコントロールに関与していることになり、生命現象の深い部分に関わっている可能性があるということです。
 このような展開を見ると、歯周病という口腔局所の疾患のメカニズムを勉強することは、すなわち生体を全体としてとらえる医学そのものを勉強することに他ならないことに気づきます。今、歯科医学の中において、歯周病と全身疾患とのかかわりを研究するペリオドンタルメディシンが勃興してきていますが、ペリオドンタルメディシンの研究を通じて、歯科医学は、結局、医学と深く関連していることにあらためて気づかされます。これからの歯科医学が志向していくべき方向性を感じます。  

アメリカ心臓病協会(AHA)の「心血管系疾患と歯周病とは無関係」との公式見解発表を考える。

20141227172733.jpg

 

  4月18日、アメリカ心臓病協会(AHA)が「歯周病と動脈硬化性疾患とは関係がない」という異例の公式見解を発表し、それに対して、アメリカ歯周病学会は「そんなわけはない、両者は関係があるはずだ」と猛反発していると、米国のマスコミはセンセーショナルに報じた。
 
  歯周病が全身疾患と関連があることが指摘され始め、全身健康の保持増進の観点から歯科医学の価値が関心を持たれてきている時だけに、いささかショッキングな話題だ。そこで、この件について少し調べてみた。 

 

 

20141227172750.jpg
  その結果、上記の報道内容はいささか事実と異なっており、それはマスコミが両学会の見解を正確に理解し、真意を伝えきれていないことに起因するようだ。
 
  先ず、アメリカ心臓病協会(AHA)が発表したサイエンティフィックステートメントをよく読むと、AHAは動脈硬化性疾患と歯周病との関連性を認めており、完全否定していない。正確に言うと、“短期的に見れば歯周治療の介入が動脈の血管内皮の炎症を減少させることは認めるが、長期的にみると歯周治療の介入が動脈硬化性疾患の発症頻度を減少させてはいない。しかしながら、両者はいくつもの複数のリスクファクターを共有していることから、関連性は否定できないので、今後注意深いリサーチの継続が必要である”と述べている。
 
  そして、これに対するアメリカ歯周病学会の公式声明も、決してアメリカ心臓病協会の見解を否定しておらず、逆に支持しているのである。確かに、歯周治療の介入による心疾患の発症頻度の減少は報告されておらず、現段階で集積されたリポートを科学的な態度で評価するなら、両者は、背景にあるその他のファクターの存在(両者の背景には肥満や脂質代謝異常、糖尿病、喫煙、など多くの関連する因子が存在している)に関係なく、両者が直接的に関連性があるとは断定できない、と極めて科学的で、冷静な態度をとっているのである(もし、両者間に直接的関連性があるのならば、歯周治療を行うことによって心疾患が予防出来たり、心疾患が改善するといった事実が確認されなければならない)。
 
  結局のところ、アメリカ心臓病協会はあくまでも科学的態度を堅持しており、一方のアメリカ歯周病学会もやはり科学的な態度をとっているのであり、両者ともアカデミアとしての見識は健全であると言える。どうやら今回のアメリカ心臓病協会の声明は、アメリカ社会の歯周病治療関連業界(口腔ケアグッズやレーザー等の歯周病関連器材の販売会社)の「フロスか、死か」(口腔ケアをしないと死ぬぞ、の意)という極端なコマーシャルベースのキャンペーンを牽制し、アメリカ国民を本来の心疾患の危険因子(高血圧や高脂肪食、運動不足、喫煙、等)から目をそらさないように仕向ける意図があったらしい。  
2014122717282.jpg

 

   そして、日本国民の皆さん、歯周病は心疾患とは無関係と早合点しないでください。

両者は、アカデミズムのレベルでは極めて密接な関連性が推測されており、依然として口腔ケアの重要性は否定されることはないのです。 

 

 

上顎無歯顎の治療法について考える。

20141227173119.jpg

 

   上の写真は6か月前の口腔内です。

上顎前歯に5本の歯が残っていますが、すべてグラグラでした。
 
  この状態で、どのように治療するかですが、歯を残すなら部分義歯が選択され、抜歯するなら総義歯、またはボーンアンカードタイプのインプラントブリッジが選択されるでしょう。

 

 

20141227173136.jpg

   最終的には患者様の歯に対する思い入れの強さが治療方針を決定します。

たとえグラグラでもこれを失うことは自分を失う様な気持がするので何とか残してほしい、という希望が強ければ保存の方向に向かいます。
その場合は、将来、総義歯に移行することを前提にした暫定的な義歯を作製することになります。
 
  本症例では、抜歯に抵抗を示されませんでしたので、ボーンアンカードブリッジを作製する予定です。 
 
 

今日は下顎無歯顎のボーンアンカードブリッジの試適を行いました。

20141227173423.jpg

 

 
  デンタルラボ・アトリエココロから完成前の状態の下顎無歯顎のボーンアンカードブリッジが届けられました。
完成まえにインプラント体との適合や、周囲歯肉との調和、清掃性などをチェックする目的です。 

 

 

 

20141227173434.jpg

 

   メタルフレームの部分は完成済みですが、歯肉の形態や人工歯の配置の部分はまだ完成途上の段階です。

今回のボーンアンカードブリッジはスクリュー固定式です。
ボーンアンカードブリッジは、ワンピース構造なのでトラブルがあった場合は修理が容易なこと、歯周病の予防や管理の目的からブリッジを外して観察やインプラント周囲の清掃をおこないやすい点を考慮すると、着脱が容易なスクリュー固定式の方がセメント固定式よりも合理的であると考えています。

 

 

20141227173446.jpg

 

 

 清掃性の善し悪しのかなめの部分である粘膜面との間に清掃を可能にする空隙があることを確認出来ました。

歯間ブラシが容易に入ることが大切です。

 

 

20141227173459.jpg

 

 

 

 

 

 

20141227173511.jpg

 

 

 

 

 

今日は無歯顎のインプラント植立の際の位置決のためのCT撮影用テンプレートを作製しました。

20141227173751.jpg

 

   上顎はすべての歯を抜歯後、現在、2カ月の状態です。

今後、インプラントブリッジを予定していますが、どの位置に、どの角度で、どの程度の深さにインプラントを植立するか、はとても重要な考慮すべき点です。 

 

 

 

2014122717385.jpg

 

   その決定に際してはCT画像が重要です。

今日は、CT撮影の際に将来の配置すべき人工歯の位置をできるCT撮影用テンプレートを作製するための顎の形採りをしました。
 
 
 
 
 

今日は、約1ヶ月前にセットしたインプラント上部クラウンの経過観察をしました。

20141227173948.jpg

 

   5月1日に左下67アストラテックインプラントにセラモメタルクラウン(連結)を装着し、今日はその経過観察をしました。

左下5はTEKですが、インプラント周囲の清掃状況は良好です。
インプラント周囲の清掃性が容易なように、歯間空隙は多めに確保しています。
咬み合わせ、清掃性、発音、舌感、等について患者様からも特に問題ないとおっしゃってくださいました。

 

 

2014122717402.jpg

 

 

 

 

 

 

20141227174016.jpg

 

 

 

 

 

 

 

今日は高松市歯科医師会主催の歯の衛生週間行事に学術部として参加しました。

20141227174142.jpg

 

  学術部の出し物はAED体験コーナーです。

一般市民の方に実際にAEDに触れて頂き、身近のものとして感じて頂くことで、いざという時に尻込みしなくなればよい、という趣旨で企画しています。
学術部員といっしょに参加者の一般市民の方々が、ステージ上で人工呼吸や心臓マッサージの方法、そしてAEDの使用方法について学びました。
 
 
20141227174152.jpg

 

 

   もう一つの出し物は、歯周病と全身疾患との関わりを示すパネル展示です。

学術部は過去数年間、このテーマで一般市民の方に歯周病は口腔だけの問題でないことを、パネルやパンフレットの形で情報提供しています。
 
 
 
 
 
 
 
 

今日はコンポジットレジン充填後に生じた知覚過敏について考えました。

2014122717442.jpg

 

   右上7のアマルガム充填は隣接面コンタクトが失われていることから、先日、これを除去し、コンポジットレジンに置き換えました。

しかしその後、知覚過敏が発生したため、コンポジットレジン充填処置の象牙質にもたらす刺激性がその原因かと考えました。 

 

 

20141227174413.jpg

 

   そこで、充填したコンポジットレジンを除去し、アイオノマ―セメントに置き換えてしばらく様子を見ることにします。

窩洞が深い場合、たまにこういうことが起こります。コンポジットレジンの象牙質との接着メカニズムについて、詳しく勉強する必要を感じました。 
 
 
 
 
 

今日はピンピンコロリについて考えました。

20141227174550.jpg

 

  首都大学東京・大学院教授 星 旦二 著「ピンピンコロリの法則」のすすめる健康長寿の方法は、まさに自分の志向しているライフスタイルだ。適度な運動、適度な睡眠は当然として、お酒は毎日飲んでもよいとか、家にこもらずとにかく外に出ること、交流を増やすこと、病院より美容院に行くこと=見た目は大事であること、仕事を手放すな、財布は自分が握る=経済の自主管理が大切であること、そして大切なのは心の健康、すなわち、自分は健康だと信じること、一病息災的健康感を持つこと、笑顔のある生活、いくつになっても人は進化し成長すると考えていること、そして夢を持つこと。
 
  上にあげた健康長寿の条件は、氏の専門である公衆衛生学調査の結果から導かれた健康長寿者の生活習慣の統計結果であるので信頼していいだろう。
そして、上記の生活信条は、ありがたいことに、すべて私の生活信条と一致している。
だから、もしかすると、私は本当に100歳まで生きるかもしれないな、とひそかに思ったりもする。   

 

 

 

 

 

2014122717462.jpg

  実のところ、私は健康長寿の秘訣は、身体面の管理も大切だが、むしろ心の持ちどころの方がもっと大切で、やりたいことをやりたい放題やりぬくことではないかと考えている。

私は興味のあることには、寝食忘れて没頭できる性癖があるのだが(その代わり興味のないことは全然しようとしない)、そのような精神状態で何かに没頭している時、たとえ徹夜をしたとしても、とてもさわやかで幸福な感覚を味わえるとき、そのような状態はおそらく健康にとてもよいことになっているのだろうと思っている。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ページ上部へ