OSASの治療は、根本治療と対症療法に分けられる。根本療法とは、肥満が原因なら体重減少、鼻腔が狭い・扁桃が大きい・軟口蓋が長いなどが原因の場合は耳鼻咽喉科的手術、下顎が小さい・舌が大きいなどは口腔外科的手術が適応される。
一方、対症療法には、医科で行う経鼻的持続陽圧呼吸療法(Continuous Positive Airway Pressure:CPAP),歯科で行う口腔内装置(Oral Appliance:OA)治療、側臥位での睡眠体位を指導する睡眠体位の指導などがある。
CPAPは医科でのOSAS治療の第一選択である。これは、睡眠時にマスクをかぶり、CPAP装置と呼ばれる陽圧で送気する機械をマスクにつなげて、気道に陽圧の空気を送り込む治療法である。非常に効果が高いが、装着の違和感、鼻腔の乾燥、持ち運びの不便、空気が漏れる、など必ずしも使い勝手が良いわけではないようだ。
一方、OAは口腔内に装着する装置によって気道を拡大するものである。保険で製作される一般的なものは上下のマウスピースが一体となっている下顎前方移動型である。これは上下の歯列にマウスピースを乗せ、下顎を前進させた状態で上下の装置をレジンで固定してしまうものである。そして、この装置を上下の歯列に適合するように装着することで下顎が前方に挙上されるわけだ(図参照)。OAの効果はCPAPのそれよりは弱いといわれ、軽度から中等度のOSASが適応と考えられる。
a 下顎前方移動型OA b 舌や軟口蓋が重力で落ち込み気道が閉塞した状態 c 下顎を前方移動することにより舌
軟口蓋が前方に移動し、気道が確保される (文献1より引用)
参考文献: (1)坂井丘芳監修, 奥野健太郎 編, 睡眠時無呼吸症候群の口腔内装置治療. 医歯薬出版. 2014