昨日に続き、今日のテーマもストレッチだ。これまで、自分はストレッチの意義がもうひとつ解っていなかったんだが、昨日の「ストレッチは筋肉の血流を増加させる」という話はガッテン、ガッテンだった。そこで、さらにストレッチの効果について、踏み込んで調べてみた。その結果、ストレッチにも筋肥大を起こす効果があることが分かった。
骨格筋は横紋筋線維の集合体で、その内部のミオシンフィラメントとアクチンフィラメントが神経からの刺激により誘発された化学反応でスライディングすることで筋収縮が起こる。筋肥大とは、このミオシンやアクチンなどの収縮装置を構成する蛋白やエネルギー産生、代謝に関するすべての蛋白増加に他ならない。これらの蛋白はアミノ酸が多数結合したもので、その設計図はDNAに書き込まれている。そして、その情報が読み取られ、mRNAに転写され、さらに翻訳されることでタンパクが造られる。筋力増強トレーニングにより筋肥大が生じるということは、筋細胞の中でこのような遺伝子の転写と翻訳が起っていることに他ならない。
ところで、筋肥大を起こすトレーニングとは、等張性筋収縮であれ(関節を動かす運動における筋肉の収縮)、等尺性筋収縮であれ(関節を動かさない運動における筋肉の収縮)、筋肉を収縮させることでしか、その効果が得られないと思っていた。しかし、これは認識不足だった。ストレッチによっても筋肥大が起るのだ。
その理由は、じつは筋収縮により筋肥大が起るメカニズムと共通のメカニズムによる。
参考文献:池田 聡、他. 分子生物学的観点から見たストレッチと筋肉増強. 総合リハ.30巻.11号.1065-1068.2002