ところで、審美性に影響する透明度については、どうでしょう?じつは透明度の高い順に長石系セラミック⇒二ケイ酸リチウム系セラミック⇒ジルコニアの順に並びます。
透明度については、強度が最も低い長石系セラミックが最も高く、続いて二ケイ酸リチウム系セラミック⇒ジルコニアの順に透明度が低くなります。長石系セラミック(=ポーセレン)は透明性を伴っているので天然歯の色調を再現しやすく、従って従来からポーセレンメタルボンド(PFM)の前装部として用いられました。
二ケイ酸リチウム系セラミックの商品“e-max”も当初、色調の再現性はまずまずでしたが、最近になって審美性が改善されてきています。ジルコニアに至っては、初期のものはまったく不透明で真っ白なものしかなく、“なんじゃこれは、真っ白やん!”状態で全く天然歯とは異なった色調をしていました。しかしながら、ジルコニアは最近になって著しく進化してきており、“ジルコニアモノリシック”や“多層構造のジルコニア”の登場により、強度は若干落ちますが透明性が付与されて審美性がかなり向上しました。つまり“天然歯っぽい”ジルコニアが現在各社から販売されています。
まとめますと、セラミックの強度については、ジルコニアが最強で、続いて二ケイ酸リチウム系セラミック⇒ ガラス系セラミック⇒長石系セラミックの順に強度が低下します。透明度についてはその逆で、ジルコニア⇒二ケイ酸リチウム系⇒ガラス系セラミック⇒長石系セラミックの順に透明度が高まります。審美性と強度とは逆の相関関係なのです。
(次回に続く)