三番目のセラミック冠の優れた点として、審美性があげられます。セラミックは白く、銀歯はメタル色。歯は白く、自然に見えるのが美しいとする現代の価値観では、審美性においてセラミックが銀歯に勝ることはいうまでもありません。この点には議論の余地がないと思います。
セラミックだけで歯を作ればきれいに見えるのはわかりきっているのですが、以前はセラミックだけでは強度が不十分だったために、メタルの強度に依存しなければなりませんでした。それが「ポーセレンメタルボンド」と呼ばれるものです。外層が審美性に優れるポーセレン(セラミックの一種で長石系セラミックのこと)、内層がメタルの二層構造をしており、両者は「融合」して一体化した構造になっていました。強度的には十分だったのですが、メタルは自然光を通過しないことから歯にエナメル質に相当する透明感を与えることが難しく、切端も歯頸部も同様の色調で“べたっ-”とした感じになりがちでした。また歯頸部(歯茎と歯との境目)は光学的にどうしてもメタルの性質が色濃く反映して黒ずんだ色調になっていました。下の写真は左上2、3、4がオールセラミックブリッジ、左上1(矢印)がポーセレンメタルボンドです。ポーセレンメタルボンドは歯頸部が黒ずんで見えます。
そこで、この欠点を克服するために近年登場してきたのが「オールセラミック」です。オールセラミックとは文字通り、100パーセント、セラミックから出来ているセラミック冠です。このようなセラミックだけで冠を作れるようになった背景には、セラミックの進化があり、メタルに依存しなくても強度をだせるようになったからに他なりません。
オールセラミックの特徴は、ポーセレンメタルボンド冠(セラモメタルボンド冠)の欠点を克服していることです。すなわち、オールセラミックは光を透過するのでより自然な感じの歯を作ることが出来ます。さらに、従来のポーセレンと呼ばれるセラミック(正確には長石系セラミックといいます)よりも強度が増しているため、前歯だけでなく臼歯にも使用できます。
このような長所をもっていることから、現在ではオールセラミックがセラミック治療の主流になっています。オールセラミックといっても、その中にはいくつか種類があるのですが、セラミックのなかでもジルコニアセラミックが現在、ダントツで進化発展を遂げてきています。
(次回に続く)