こんにちは。高松市花ノ宮にある歯医者「中山歯科クリニック」です。
歯周病が進行すると、基本的な治療では炎症がおさまらず、外科的な治療が必要になる場合があります。「歯周病の外科治療ではどんなことをするの？」「費用はどのくらいかかるの？」など、不安に感じている方もいるでしょう。
この記事では、歯周病の外科治療とはどのような治療なのかを解説します。治療にかかる費用についても説明しますので、ぜひ参考にしてください。
歯周病の外科治療とは
歯周病の外科治療とは、進行した歯周病に対して行われる治療です。歯周病は、歯と歯茎の間の溝である歯周ポケットに歯石が溜まり、歯茎が炎症を起こす病気です。歯周病になると、専用の器具を使って歯周ポケットを掃除する歯周基本治療が行われます。
ただし、重度の歯周病になると、器具では届かないほど歯周ポケットの奥深くに歯石が溜まっていたり、奥で炎症が起こっていたりする場合があります。外科治療では、歯茎を切って歯周基本治療では届かなかった部位を清掃します。
さらに、薬剤を塗布して骨の再生を促す治療が行われることもあります。歯を抜かずに重度の歯周病を治すのが目的です。
歯周病の外科治療の方法
代表的な外科治療の方法として、フラップ手術と歯周組織再生療法の2つがあります。
フラップ手術
フラップ手術とは、歯茎を切って歯周ポケットの奥深くにある歯垢や歯石を取り除く手術です。歯周基本治療で歯周ポケット内の歯石を除去しても歯茎の炎症がおさまらない場合や、歯周ポケットが改善されない場合に行われます。
歯周組織再生療法
歯周組織再生療法は、タンパク質や骨移植材料が含まれる薬剤を注入し、歯茎や歯を支えている歯槽骨などの歯周組織を再生させる治療です。歯周組織再生療法のうち、代表的な治療法を3つ解説します。
GTR法
GTR法は、骨が溶けてなくなった部分に人工膜を挿入し、歯槽骨や歯根膜などの再生を促す治療です。通常、歯槽骨が溶けた部分は空洞になり、骨があった部分をふさぐように歯肉だけが再生します。
GTR法では、人工膜で空洞部分をカバーし、歯槽骨の再生を促進させます。4〜6週間後に、挿入した人工膜を取り除く手術を行い、1年程度かけて歯槽骨を再生させます。
エムドゲイン療法
エムドゲインは、タンパク質が含まれる薬剤です。安全性が高く、世界の40カ国以上で使用されています。
エムドゲイン療法では歯根の周りにエムドゲインを注入し、歯周病によって溶かされた歯周組織を再生します。エムドゲイン療法のメリットは、1回の手術で治療できる点です。
ただし、すべての症例に適応できるわけではありません。
リグロス療法
リグロスは、細胞を増やす成長因子で、床ずれや火傷の治療にも使われている成分です。歯周病によって骨が溶けた部分に塗布します。歯周組織の細胞を増やし、歯周組織の再生を促します。リグロス療法のメリットは、保険適用で治療できる点です。
一方で、骨が溶けている範囲が縦に3mm以上の場合など、適応症例が限られています。
歯周病の外科治療の基本的な流れ
ここからは、歯周病の外科治療の基本的な流れについて説明します。
1. 検査・歯周基本治療
まずは、歯周ポケットの歯石や歯垢を取り除く歯周基本治療を行います。歯周ポケットの計測やレントゲン写真などの検査を行い、歯周外科治療が適切かどうかを判断します。
2. 局所麻酔・歯茎の切開
局所麻酔を行い、炎症が起きている部分の歯茎を切開します。麻酔が効いているため、痛みは基本的に感じません。
3. 歯石・炎症物質を取り除く
歯周ポケットの奥深くに付着している歯石や炎症物質を取り除きます。歯根をなめらかにし、汚れがつきにくい状態にします。歯周組織再生療法を行わない場合は、ステップ5へ進みます。
4. 薬剤を塗布する
歯周組織再生療法を行う場合は、骨が溶けた部分に薬剤を塗布します。
5. 切開した歯茎を縫合する
歯根の治療が完了したら、切開した歯茎を縫合します。フラップ手術と歯周組織再生療法を行った場合の手術時間は、1時間30分から2時間程度です。
6. 抜糸・経過観察を行う
通常、1〜2週間後に抜糸を行います。歯周組織療法を行った場合は、6ヶ月〜1年程度で歯周組織が再生されます。歯科医師の指示どおり検診を受け、経過をチェックしてもらいましょう。
外科治療を行っても、口腔内をきれいに保てていなければ再発する可能性があるため、毎日のブラッシングが大切です。
歯周病の外科治療のメリット・デメリット
ここでは、歯周外科治療のメリット・デメリットについて説明します。
歯周病の外科治療のメリット
メリットは、以下のとおりです。
歯石や炎症組織を取り除ける
外科治療であるフラップ治療では、歯茎を切って歯石や炎症組織を目視で確認できます。歯周基本治療では取り除けなかった歯石や炎症組織を確実に取り除けます。
そのため、歯周病が進行している方、歯周基本治療を行っても再発を繰り返している方も治せる可能性が高いです。
歯周ポケットに汚れが溜まりにくくなる
歯周ポケットが改善されると、歯ブラシが届きやすくなります。デンタルフロスや歯ブラシで歯垢を取り除きやすくなり、毎日のブラッシングできれいに保ちやすくなります。歯周病を繰り返していた方も、再発するリスクを軽減できるのです。
また、歯茎が引き締まり、健康的な見た目になります。
歯の寿命を伸ばせる
歯周病は、進行すると歯を支える歯槽骨が溶けていく病気です。治療せずに歯周病が進行すると、最悪の場合は歯が抜け落ちたり、抜歯しなければならなくなったりすることもあります。
歯周外科治療では、炎症を抑えて歯周ポケットを浅くし、ぐらついていた歯も安定させることが可能です。薬剤を注入して歯を支えている組織を再生させる治療もできます。
歯周病の外科治療のデメリット
デメリットは、以下のとおりです。
歯茎が下がることがある
フラップ手術では、歯茎の炎症がおさまることで歯茎が引き締まり、歯茎が下がったように感じられる場合があります。歯が長くなったように感じ、見た目が気になる方もいるでしょう。また、歯根が露出して知覚過敏を起こす場合もあります。
歯茎が下がった場合は、歯周組織再生療法や、自分の歯茎を移植する歯肉移植術を行うことで改善できる場合があります。
受けられないことがある
服用中の薬がある方や持病がある方など、患者さまの健康状態によっては治療できない場合があります。例えば、血液をサラサラにする薬を飲んでいる方は、切開時の出血が多くなるリスクが高いです。
医師の判断のもとで薬をコントロールすれば、治療できる場合もあります。既往歴や服用中の薬については、必ず歯科医師に伝えましょう。
治療費用が高額になる場合がある
歯周組織再生療法で使用する薬剤の種類によっては、保険が適用されません。全額自費となり、高額な費用が必要となる場合があります。
ただし、自由診療であれば歯の状態に合わせた薬剤を選択できるメリットがあります。費用や治療内容について歯科医師とよく相談したうえで検討しましょう。
痛みが生じる場合がある
歯周外科治療では局所麻酔を行うため、治療中の痛みはほとんど感じません。
しかし、麻酔が切れると痛みが強くなる場合があります。手術後は痛み止めが処方されるため、服用しましょう。痛みのピークは手術後から2〜3日程度で、1週間もすれば痛みが落ち着くことが多いです。
歯周病の外科治療の費用と期間
ここからは、歯周病の外科治療の費用と期間について解説します。
歯周病の外科治療にかかる費用
フラップ手術は、基本的に保険が適用されます。3割負担の場合、1本あたり3,000円程度が目安でしょう。
歯周組織再生療法は、薬剤によって保険が適用されるかどうかが異なります。薬剤のうち、リグロスを使用する場合は、保険適用（3割負担の場合）で8,000円〜2万円程度です。
エムドゲインなど保険適用外の薬剤を使用する場合は自費となり、10万〜20万円程度の費用が発生します。
歯周病の外科治療にかかる期間
治療期間は、歯周病の進行状況や治療本数、炎症の範囲などによって異なります。重度の歯周病である場合が多いため、診断から治療が完了するまでに1年以上かかることが多いです。
また、歯槽骨や歯根膜などの歯周組織が再生されるまで、数ヶ月から1年程度かかります。治療後も、ブラッシングを怠ると再発する可能性があるため、定期検診を受けながら口腔内をきれいに保つことが大切です。
まとめ
歯周病の外科治療は、進行した歯周病に行われる治療です。歯周ポケットの汚れを取り除くフラップ手術と、薬剤を注入して歯周組織の再生を促す歯周組織再生療法の2つがあります。歯周病が進行した歯も保存できる可能性が高まる点がメリットです。
ただし、歯茎を切開するため、服薬中の薬がある方や健康状態の悪い方など、治療ができないケースもあります。治療後も、ブラッシングを怠ると再発する恐れがあるため、セルフケアを行うことが大切です。
健康状態や歯の状態、費用などについて歯科医師と相談しながら進めましょう。
歯周病の外科治療を検討されている方は、高松市花ノ宮にある歯医者「中山歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
当院では、全身の健康と長寿に貢献できる長期的な視点をもった治療を行っています。専門的な歯周病治療だけでなく、予防歯科、虫歯治療、インプラント、ホワイトニングなど、さまざまな診療を行っております。
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