前にも書いたが、今の自分が一番欲しいものは時間だ。まだまだやれていないことが多く残っているので、死ぬまでにそれらを全部達成したいと考えているわけだが、残り時間が多ければ多いほど、その可能性は高まる。したがって、老化は敵なのだ。健康寿命の延伸が自分のテーマなので、その方面に関心がある人が興味を持ってもらえると、ブログの書きがいがあるというものだ。というわけで、今日のテーマは、抗老化ホルモンだ。
「老化」はあらゆる成人病に共通の危険因子だ。したがって、老化そのものを抑制・遅延することが、あらゆる成人病に対する最も有効な予防策であることに間違いはない。今日紹介する研究グループは老化を抑制するホルモン(抗老化ホルモン)の存在を2005年に世界で初めて証明し、老化のメカニズムの解明に貢献しているので紹介したい。
その抗老化ホルモンの名はクロトー、発見者は、2005年当時、テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターの助教授、現在、 自治医大分子病態治療研究センター 抗加齢医学研究部 黒尾 誠教授だ。
同教授の研究室のHPによれば、クロトーは3つのホルモン(FGF19、FGF21、FGF23)(FGFは線維芽細胞増殖因子)の受容体として機能し、リン、カルシウム、糖、脂質、胆汁酸、ビタミンDなどの代謝を正常に維持するのに必須の内分泌系を構成していることが明らかにされている。さらに最近、これらKlotho-FGF内分泌系の適応と破綻が、慢性腎臓病、糖尿病、癌、心肥大、動脈硬化など、加齢と共に急増する疾患で普遍的に見られる病態であるばかりでなく、老化そのものを加速したり減速したりすることも分かってきているという(1)。
とはいえ、クロトー遺伝子がコードする蛋白の抗老化作用の詳細は未だ不明だ。不明ではあるが、老化を早めたり、遅くしたりする遺伝子が存在することは事実である。そして、これは自分の考えだが、遺伝子の発現のスイッチをオン・オフするのは多くの要因が関与しており、遺伝子を持っているから抗老化作用が必ず発現するものではないことは、他の遺伝子の発現メカニズムから類推できる。
ということはだよう、未だ知られていない要因によって、人は早く老化したり、ゆっくり老化したりしていると考えられる、っちゅうことだわな。そして、その未だ知られていない要因は、おそらく自助努力で制御可能なものが含まれているような気がするのだ。直観だが。
これからの時代は、各人の知的探求心によって寿命を自己コントロールできる時代になるような気がする。面白い時代になってきたものだ。だから、もっともっと、情報を取得せにゃならん。そして、良い情報は仮説であろうとも実践すること。それは、実験的人生であり、とてもわくわくする人生であると思う。
(1)自治医科大学HP http://www.jichi.ac.jp/laboratory/molecula/genome/