先日、歯科衛生士の業務について書いたが、今日はその歴史的変遷から、歯科衛生士の今後の可能性について考えたい。以下、文献(1)より引用
1948年に歯科衛生士法が制定され、歯科衛生士の業務は「歯科予防処置」と定められた。その後、1955年に「歯科診療jの補助」、1989年に「歯科保健指導」の業務が追加された。「歯科予防処置」「歯科診療の補助」「歯科保健指導」の3つの業務を、歯科衛生士の3大業務という。2014年には、いわゆる医療介護総合確保推進法が公布され、歯科衛生士法も一部改正された。主な改正点は、「歯科医師の直接の指導の下に」という条文から「直接」の語が外されたことである。ここに、歯科衛生士が他職種連携のなかで主体的役割を果たせる状況が確保された。
引用ここまで。
ここで重要なことは、2014年に歯科衛生士の業務が「歯科医師の直接の指導の下に」から「歯科医師の指導のもとに」に置き換わったことだ。これは、歯科衛生が業務ににつく場合、歯科医師が必ずしもそばに立って指導する必要がないということである。歯科医師の指導は仰がなければならないが歯科医師により信頼に足ると判断された歯科衛生士は、主体的に患者に接してよい、ということだ。
これは、歯科衛生士の可能性が、今後、さらに拡大することを予想させる。地域包括ケアにおける歯科衛生士の約割りは、一層拡大するだろう。
と、同時に忘れてならないのは、歯科衛生士の業務は「歯科医師の指導の下」に行われるものであることだ。これは、歯科衛生士は歯科医師のパートナーではなく、歯科医師の管理下に活動を行う存在である、という点だ。一方が他方を管理している関係にある時、両者はパートナーではない。あくまで、歯科医師から委託された仕事の遂行者なのだ。
参考文献:(1)深井穫博,他. 保険・医療・介護・福祉をつなぐための歯科からの提言.the Quintessence. Vol.35 No.9. 84-94.2016