歯周病は厳密な意味では治癒のない疾患であると以前に書いたが、臨床的には十分治癒する。快適な口腔内環境を継続的に維持することは可能だ。歯周病原菌を口腔内から絶滅させることはできないが、臨床的に問題となる症状を起こさない程度にその数を一定レベル以下に抑えておきさえすれば、それが可能となる。その方法とはそれほど困難なものではないが、要はそれをやるかやらないか、だけの問題だ。要するに患者さん本人のやる気の問題で、治りたいと強く願うのであれば、治る方向に向けて自助努力してくれれば結果は必ずついてくる。歯周病とはわけのわからない、複雑怪奇な病変ではない。ただの感染症の一種に過ぎないのだ。治癒に向かわせるその方法論はすでに明確になっている。
上の写真は、上段が治療前、下段が治療後の歯周病患者さんの口腔内写真だ。行った治療は、歯周基本治療と歯肉剥離ソウハ術のみであり、すべて保険の範囲内だ。歯周再生療法を用いなくとも、ここまではきちんと炎症を終息させられる。ペリオは臨床的には、十分、治癒させられる疾患である。