修復物の試適を完成前に行っておくことは極めて重要だ.この段階で完成品と同一の形態をした仮の構造物を支台歯に乗せてチェックし,その適合度や咬み合わせ,清掃性や発音,舌触りの良しあし,口唇との調和がほぼ満足できるものであれば,完成時にはほぼ,それと同等の満足すべきものが入ることが保証されるからだ.
例えば,このケースではインプラントに接続するアバットメントは,インプラントポジションがやや深めの関係でカスタムメイドだ.それを試適して,レントゲンで確認しておけば,適合の良いアバットメントであることが保証されるので,インプラントの最終上部冠を安心して製作することができる
最終修復物は,ほとんどの場合,セラミックブロックからCAD/CAMで製作されるので,試適の際に支台歯に乗せるものは最終修復物の製作途中のものではない.試適の目的のためだけに製作されたレジンだ.当然,最終修復物と同様の形態が具備されている.
材質はレジンだが,形態は最終修復物と同様なので,仕上がりを予見することが可能である.もし,問題があればそれを改善してから最終修復に入るようなシステムを構築しておけば,満足のいく仕上がりになる確率は高い.だから,完成前に試適のステップを入れることは極めて重要といえる.こういうところは,保険診療の制約に縛られなくてすむ自費診療の優位性のひとつだ.
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