インプラントは、なぜ入れ歯やブリッジより優れているのですか? | |
インプラントは、入れ歯やブリッジに比較していくつかの優れた面を持っています。
先ず一番目は、「健全な天然歯と同様に咬める」点にあります。歯で 物がしっかり咬めるためには歯が動かないことが絶対条件です。入れ歯は粘膜上 にのせるだけですからフワフワ揺れますし、ブリッジも土台となるのは天然歯 ですから、土台の歯に歯周病があればやはりグラグラしてしっかり咬めません。 その点、インプラントは人工歯根を骨の中に埋め込むので、骨と強固に固定さ れます。その結果、インプラント上の歯冠はビクとも動揺せず、これがインプラ ントが健全な天然歯と同様に咬める決定的理由です。そして、インプラントが 他の二者よりも決定的に優れている面といえます。 二番目は、口の中の不快感がないことです。入れ歯はプラスチックの床の部分 が粘膜を覆うためにどうしても不快感を伴います。また、味覚障害も起こしま す。ブリッジもダミー部分の形態は天然歯と異なるので、この部分を舌で触ると 違和感を覚えることがあります。その点、インプラントは、天然歯と同様の形態をしていますから、装着しても不快感がありません。 三番目は、周囲の健康な歯に影響を及ぼさないことです。入れ歯は、留め金を介 して周囲の歯を揺さぶりますので、次第に留め金がかかる歯は動揺を起こしてきます。ブリッジは、抜け落ちた歯の両隣の歯を土台として、人工の歯を橋のご とく架けていく治療法ですが、当然両隣の歯を削ります。これらは天然歯を大切にするという方針にそぐわない方法です。その点、インンプラントは、失った 歯のみを置き換える治療法ですので、周囲の歯に影響を及ぼさないのです。 |
誰にでも治療は受けられますか? | |
年齢的に顎の骨が完成する20歳前後から、健康な方であれば基本的に誰でも治療を受けることが出来ます。
ただし、全身疾患、妊娠中の方などはインプラント治療を受けられない場合があります。 |
手術の際に入院が必要ですか? | |
基本的には入院の必要はありません。
但し、特殊な症例の場合や、全身疾患を有する患者様の場合には入院して手術を行うこともあります。 |
治療期間はどのくらい? | |
インプラントを埋入した部位や個人によって差がありますが、4ヶ月から7ヶ月程度の治療期間が必要となります。 |
インプラントはどのくらいもちますか? | |
患者様のお口の中の衛生管理に大きく関係してきますので、お口の衛生状態が悪いと寿命が短くなる場合もあります。
常に衛生状態を良好に保ち、歯科医や歯科衛生士の指導に従っていただくことが大切です。 |
治療費用はどのくらいかかりますか? | |
現在は保険治療の適用になっていません。
埋入するインプラントの本数など治療の内容により異なりますので、詳しくは担当歯科医師にお聞きください。 |
歯の治療はなぜ時間がかかるのですか? | |
一本の歯の小さな虫歯であれば、削って詰める処置は一日で終わりますから
一概にはいえません。 歯周病などで多くの歯が失われている場合に、入れ歯 やブリッジ、インプラントなどの人工の歯で咬み合わせを回復させる治療は確か に時間がかかりますので、ここではこういった多くの歯を治療する場合を説明 します。 先ず一番目の理由として、歯周病で多くの歯を失った場合、いきなり欠損した 歯に対して、入れ歯やブリッジ、インプラントなどを入れることはあまり得策ではありません。なぜなら、残存している歯の歯周病の治療や予防を先行させる 必要があるからです。歯周病が原因で歯を失った場合、残存している歯も歯周病になっている可能性が高いので、先ずこれらの歯が今後失われないように手を 打つことが先決です。治療の最初に、歯周病の検査や治療が行われますが、これがある程度の通院回数を要します。特にインプラントの場合は、長期的に良好 な予後を期待するためには、この過程が極めて大切です。 二番目の理由として、多くの歯が失われた場合、現在の咬み合わせが本来の咬 み合わせからずれている可能性が高いことがあげられます。上顎の歯列と下顎 の歯列が毎回、定位置で咬み合えば良いのですが、咬み合せる度に微妙に前後左 右にずれる状態ですと、そのままでは人工の歯を入れられません。入れても咬 めるものが出来ないからです。また、無理矢理入れると、その位置で咬めるよう に顎をずらして咬む習慣がつき、顎関節症を発症する危険性もあるのです。そ のためにプラスチックの仮の歯を入れ、咬み合わせが安定するまで待つ必要があります。仮の歯が入ることで、不安定だった咬み合わせが安定した咬み合わせ に回復するのです。また、仮の歯を入れてしばらく様子を見るのは、発音が上手 く出来るか、見た目も満足出来るような歯並びになっているかどうかを観察す る目的もあります。 このような理由から、当院では多くの歯を同時に修復する場合は、数ヶ月間、仮の歯を入れることが多いのですが、最終的に患者様に満足 して頂くためには欠かせない大切な治療過程と考えています。 |
歯周病に関連する成人病はありますか? | |
歯周病は口の中だけの局所の病気と考えられがちですが、全身の疾患と密接な関係があることが、最近になって明らかになってきました。
現在のところ、以下の7つの病気との関係が知られています。 ・ 糖尿病 糖尿病患者に歯周病が高頻度に見られることはよく知られ、最近では歯周病は糖尿病の6番目の合併症と捉えられています(他の5つの合併症は、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、心筋梗塞・脳血管障害、壊疽・潰瘍) 。最近では、歯周病を治療することで、糖尿病自体の血糖コントロールに好影響を及ぼすことも分かってきました。軽微な慢性炎症がインスリン抵抗性を惹起することで、歯周病が糖尿病に悪影響を与えていると考えられています。 ・肥満 近年、脂肪組織、特に内蔵における脂肪組織は様々な生理活性物質を分泌する重要な組織と考えられてきています。これらの脂肪組織から分泌される物質はアディポサイトカインと呼ばれ、TNF-αやレプチンは歯周病の発症や悪化に影響している可能性が示唆されています。 ・狭心症・心筋梗塞 歯周病が狭心症や心筋梗塞のリスクになる可能性が注目されています。歯周ポケット内の細菌が直接血流に乗って冠動脈に達し感染する可能性と、細菌感染に よって惹起された種々の炎症関連分子が間接的に冠動脈に作用する説とがあります。 ・ 誤嚥性肺炎 嚥下時に食べ物や唾液、嘔吐による胃の内容物など、本来は気道に入るべきでないものを飲み込むこと(誤嚥)によって引き起される肺炎を誤嚥性肺炎といいます。脳梗塞など脳血管障害の既往を持つ人はリスクが高いのですが、介護者や 看護師による毎食後の歯磨きに加えて、歯科医師や歯科衛生士による専門的な 口腔清掃を行えば、肺炎の発症を著明に抑制出来ることが分かっています。口腔 清掃により歯周病が改善することと、口腔ケアによって口腔機能や嚥下機能が 改善されることがその理由と考えられます。 ・ 早期低体重児出産 早期低体重児出産とは、早産あるいは低体重児出産のことです。妊婦に歯周病が あると早期低体重時出産の確率が高まる可能性が示唆されています。歯周病の局所から産生されるサイトカインの関与や、産科器官へ歯周病原菌が直接関与する可能性が考えられています。 ・ 骨粗鬆症 閉経後の歯周病に罹患している患者さんでは、一般の人以上に骨粗鬆症の検出率 が高いことが知られています。エストロゲン分泌の低下が歯周炎の進行過程に悪影響を及ぼしている可能性が考えられています。 ・免疫・アレルギー疾患 自己免疫疾患や金属アレルギーは細菌感染に対する宿主側の感受性を高め、炎症性サイトカインを過剰に放出するので、歯周病と自己免疫疾患とは相互に作用すると考えられています。 |