右下7の遠心及び頬側には、写真では分かりにくいですが、根尖にいたる深い骨内ポケットが存在していました。
そして、骨内欠損の内部には多量の不良肉芽が充満していました。
以前、他院で8番を抜歯した際、肉芽を残したために治癒不全を起こした可能性があります。
このような深い骨内ポケットに対しては、エムドゲインを用いた歯周再生療法の適応があると考えます。
根面を徹底的にプレーニングした後、骨窩洞内にエムドゲインをハイドロキシアパタイトと一緒に充填しました。
エムドゲインをできる限り組織内に長くとどめるために、完全自己血フィブリン膜を利用しました。
補填したアパタイトとエムドゲインをカバーするため、4枚のフィブリン膜を骨窩洞の表面に歯頸部に巻きつけるように貼ります。
最後に粘膜骨膜弁を閉鎖縫合してオペを終了しました。
エムドゲインを用いた再生療法はテクニック依存的な治療だと言われますが、それは縫合の際にどれだけ確実にエムドゲインを組織内にとどめられるか、いまひとつ不安が残るからだと思います。
本法は、エムドゲインを縫合が完了するまで確実に組織内にとどめるために有効な方法と考えます。