今日は神戸国際会議場で開催された第2回日本包括歯科臨床学会に参加しました。この学会は、故筒井昌秀先生が主催されていた「JACD(Japan Academy of Comprehensive Dentistry)」と筒井照子先生が現在も主催されている「咬合療法研究会」が一体化して一つの学会となったものです。
歯科臨床においてDentistryもStomatology(口腔医学)も車の両輪であって、重みに差のあるものではありません。それを同じ場で研鑚出来るように、という趣旨で設立された学会です。僕は、歯科医学は全身を扱う一般医学に、二つの切り口から、大きく貢献出来ると思っています。その一つは口腔細菌のもたらす全身への大きな影響力の観点であり、もう一つは咬合が全身に与える大きな影響力の観点です。前者は歯周病学会のペリオドンタルメディシンの領域で、盛んに悪玉口腔細菌の脅威が喧伝されています。そして、後者の咬合が全身にもたらす影響を真摯に研究している咬合関連学会は、丸山剛郎先生の率いる日本咬合学会と、筒井塾が中心となる包括歯科臨床学会をおいて、他に見当たりません。
というわけで、咬合の全身にもたらす威力の国民レベルでの認知が歯科のブレイクスルーにつながると硬く信じている僕としては、今後、咬合療法を自分の診療の柱にしたいと考え、咬合療法研究会的視点がベースとなっている日本包括歯科臨床学会にやってきました。
初日の冒頭、筒井照子先生の基調講演“第3の疾患「顎口腔機能障害」について”を聴講しました。
筒井先生は「体のひずみが個体差の中で顎口腔へ多様な症状として発症したもの」を「顎口腔機能障害」と定義付けしていらっしゃいます。従来からの病名である「顎関節症、側頭下顎障害、MPD、舌痛症、非歯原性疼痛、咬合病、Bruxism、DCS、OSAS,、口腔乾燥症、不正咬合から来る種々の機能障害」などはすべてこの概念の中に含まれます。第1の疾患がウ蝕、第2の疾患が歯周病ならば、第3の疾患である顎口腔機能障害にきちんと取り組むことにより、医学と歯学の双方においてエアーポケットの様に空白だった部分が存在したことで、医科でも歯科でも救済できなかった患者様を歯科で治せるようになり、歯科医学の新たな発展の道が開かれる、ということが講演趣旨でした。
初日の夜はポートピアホテルで行われた立派な懇親会に出席し、しばし心を和ませました。
何よりもよかったのは、スタッフも参加してくれ、咬合療法に関心を持ってくれたことです。
優秀なスタッフがこの領域に関心を持ってくれると鬼に金棒ですね。