2日目はスエーデンのKristianstad大学 Stefan Renvert教授のインプラント周囲炎の特別講演を聴いた。
EAOの統計によれば、インプラント周囲炎は、植立後5~10年経過したインプラントの約20%に認められるとのこと。
インプラント周囲炎は、予防することが大切で、またそれは可能なのだが、一旦発症してしまうと非外科処置では治癒させるのが難しいという。予防の為には歯肉縁下のバイオフィルを除去することが基本なのだが、実際はなかなか難しい。なぜなら、除去の為のツールは天然歯の為に開発されているからだ。
また、インプラント周囲炎の予防のための上部構造のコンセプトとして、患者が自己清掃し易い形態を与えることが重要と言われた。
また、インプラント周囲ポケットの測定において、24%のケースで上部構造をはずして測定した方が、外さないまま測定するよりも深くなるそうだ。また、上部構造の固定法に関して、セメント固定式はセメントの取り残しによる炎症(“セメンタイティス”と教授は呼んで笑っていた)を引き起こす可能性があることが最大のリスクと考えられる。だから、スエーデンではインプラントはほとんどのケースでスクリュー固定式なのだそうだ。
講演を聴いて、以下の様なことを感じた。インプラント周囲炎は、インプラント治療を行うと一定の確率で起こりうる疾患だ。インプラント周囲粘膜炎は非外科治療で治癒可能だから、なるべくインプラント周囲粘膜炎の段階で発見し、治癒させておく方がよい。結局、天然歯の歯周治療をしっかりとやっていき、天然歯を長く持たせられる歯周治療システムを院内に作っておくことが、インプラントの長期予後をよくすることなのだ。