右上6の口蓋側ポケットは12ミリもあり、口蓋側歯肉に膿瘍を形成しています(矢印の部位)。
他の部位のポケットは正常範囲内なのにここだけ異常に深いのは変です。
右のデンタルXPでは判然としませんが、口蓋側の歯根が破折していることがポケットの異常な深さと口蓋歯肉膿瘍の原因だと推察しました。
初診時には右上6にインレーが充填されており、失活歯であることより、破折の可能性は高いと考えます。
そこで上顎大臼歯の歯根分割抜去法であるトライセクションを行いました。
右上6の歯冠と歯根を近遠心的に分割し、口蓋根のみを抜去する術式です。
抜歯窩の口蓋側骨壁は根尖まで消失していました。
抜去した口蓋根です。
やはり完全に破折していました。
抜歯ではなく、部分的に抜根することの意義は、歯根膜を持った歯を歯列内に残せることです。
歯根膜の存在により、咀嚼の感覚を中枢に伝達出来るわけですから、出来る限り天然歯は保存されるべきでしょう。