本日は、高松市歯科救急医療センター4階大ホールにおいて、高松市歯科医師会学術部と医療管理・厚生部が合同で主催する講演会が開催されました。
お招きした講師は首都大学東京 都市環境学部大学院・都市システム科学専攻域教授 星 旦二先生で、演題名は「なぜ、かかりつけ歯科医師がいると長生きなのか?」というものでした。
そして、学術担当理事である私が、両部を代表して進行役を務めさせていただきました。
私が星 先生をお招きした理由は、今年の春、星 先生の著書「ピンピンコロリの法則」、「なぜ、かかりつけ歯科医のいる人は長寿なのか?」 (いずれも ワニブックス〈plus〉新書)と巡り会ったことがきっかけです。
歯科医療の重要性を世に問い、明日の歯科界を明るくするテーマですので、会員の先生方ならびにスタッフ、ご家族の方に是非聴いて頂きたいと思い、星先生に講演をお願いしたところ快くお引き受けくださった次第です。
講演の内容は期待通り、素晴らしいものでした。
大規模な疫学調査により、「メタボリックによる心筋梗塞は少ない」、「コレステロールはしっかりとって良い」、「かかりつけ内科医がある人はない人に比べて寿命が短い」、「お酒を適量毎日飲む人の方が飲まない人より長寿」等の事実が報告され、従来の健康長寿のために良いとされていた概念と違う結果は衝撃的でした。
さらに、「かかりつけ歯科医がある人の方がない人に比べて寿命が長い」等、思わず膝を叩きたくなるコメントにわが意を得たりと、ほくそ笑んだ次第です。
特に印象的だったのは、米国の健康規定要因のデータによれば、保険医療の役割は10%であるのに対して、日常の生活習慣は50%とはるかに大きいことから、薬漬けの治療主体の医学から生活習慣の改善を主体とする予防医学に力点をシフトした方がはるかに健康長寿につながる、というコメントでした。
現在、歯科医学と医学の両者の生命維持に対する貢献度を比較した場合、歯科医学はややもすると劣勢に立たされがちです。
しかし、歯科医学の本質は、失われていこうとする生命の緊急的救済にあるのではなく、生き生きとした生命活動の下支えにあるのです。
死に至る疾患の直接的救済は出来ないかもしれませんが、死に至る疾患を回避することに絶大な貢献をするのです。
多くの国民を健康長寿に導くことをこれからの医学の究極の使命とするなら、歯科医学こそ医学の王道を行くものといえます。
歯科医学は予防医学の一環であると私は思います。
1 ピンピンコロリの法則
(2010年 10月 ワニブックス〈plus〉新書)
2 なぜ、「かかりつけ歯科医」のいる人は長寿なのか?
(2012年2月 ワニブックス〈plus〉新書)