本日は、大阪国際会議場で開催されている第42回日本口腔インプラント学会学術大会に参加しています。
午前中は第2会場の「若手インプラントロジストのためのワークショップ」を聴講しました。インプラント治療の介入時期ーその役割とタイミングーというテーマで3人の若手演者の発表を興味深く聴きました。なかでも歯周病患者に対するインプラント治療において、どのタイミングでインプラントが介入すべきか、というテーマの発表では、先ずは歯周初期治療を徹底的に行い、感染のリスクが軽減してのちインプラントを登場させるという歯周病専門医の意見には、やはり基本はそうであろうと共感を持って拝聴しました。
歯周病に罹患している歯に対して咬合力が外傷的に作用している場合、病状の進行を早く止めるためにもインプラントで早めに咬合支持を補強したいところですが、かといって救済のためにやってきたインプラントまで感染してしまったのではミイラ取りがミイラになってしまいますから、これはいけません。きちんと歯周病の管理をしておいてからインプラントを登場させる順番は原則的に正しいと思います。
午後は特別会議場での国際セッションを聴講しました。
イブニングセッションは第5会場の「インプラント治療に必要な咬合検査法」を聴講しました。顎骨の中で僅かに動く天然歯と動かないインプラントが共存している口腔内で、どのように咬合調整を行うべきか、というのは自分にとっても極めて興味深いテーマです。
このガイドラインに基づけば、強く咬み締めると25~40μm沈む天然歯と沈まないインプラントの咬合接触は、強く咬んだ時に上記の基準を満たすように調整すればよい、ということになるのでしょう。自分もインプラントの咬合調整は、マキシマムで咬んだ時に上記の基準を満たすように、普段から咬合調整しているつもりです。それでも下顎がインプラントで上顎が天然歯の場合、ハンマーのように強く打ちつける下顎インプラントに負けて上顎のハイブリッド前装冠の咬合面がチップすることがよくあります。天然歯の咬合は常に移ろいゆくものであるだけに、天然歯と共存するインプラントの咬合調整も、常に天然歯と調和する様に咬合調整を継続しなければいけないということになります。インプラントは奥が深いです。