1 術前のCT検査を用いたランドマークシステムによるシミュレーションでは、左下6相当部の歯槽骨はかなり狭く、アストラテックインプラント4.5 11mmが普通では入りそうにありませんでした。
2 左下7相当部も同様に、アストラテックインプラント4.5 11mmが歯槽骨からはみ出してしまいます。
3 そこで、歯槽部にスプリットを加え、くさび効果で緩やかに骨幅を拡大する方法を試みました。
この方法である程度、骨幅は拡大出来ましたが、歯槽頂部と根尖部とで骨幅のギャップが大き過ぎ、スプリットによる拡大効果には限界がありました。
そこで、歯槽骨縁を2ミリほど削合することでインプラント頸部の周囲骨を確保することが出来ました。
4 つまりシミュレーションのインプラント位置より、実際は2ミリ深く埋めたのです。
インプラントの植立方向さえ変えなければ、2ミリ根尖側に進行させても下顎管はそこには存在しない、十分逃げられるという判断で行いました。
5 術後のパノラマXPでは、インプラントの先端と下顎管とが接近しているように見えますが、実際は接触していません。
この様な判断が出来るのは、術前にCT検査を行っているからです。
このようなケースを経験するにつけ、インプラント手術においてはCT検査が必須であることをあらためて確信します。
翌日の経過観察では、この患者さんの術部の腫脹や痛みは極めて経度で、知覚麻痺などは全く認められませんでした。