1 今日、この患者さんは、上顎前歯部の舌感の不良と発音 の違和感を訴えられました。
2 現在、この患者さんの上顎は無歯顎で、このようなフルアーチのスクリュー固定式のインプラント支持ブリッジが装着されています。
3 上顎前歯部のポンティック部の舌面形態は、このようにエッジが効いており、また粘膜面はやや凹面に仕上げられています。
4 このエッジの部分は舌運動の障害になり得るだろうとおもいます。生体にこのようなエッジの効いた臓器はないにもかかわらず、なぜ歯科の補綴物にはこのような鋭角が存在するのでしょう?
それはテクニシャンは石膏模型に適合させることだけ、あるいは機械的強度の保全だけを念頭に作業を進める結果、そのような構造物を口腔に入れると生体はどのような知覚を受けるか、というイマジネーションが製作側に不足していることも原因に挙げられます。
5 そういうわけで、ポンティック舌面形態を、粘膜面がなるべくスムーズな凸面になる様、カ―ボランダムポイントで削合後、シリコンポイントで研磨しました。
スクリュー固定式ブリッジの利点は、容易に撤去でき、形態修正や修理等が容易なことです。
逆に言うなら、スクリュー固定にするなら、フレームは修正が容易なメタルやレジン系素材にするべきで、通常のメタルセラミックブリッジにするならスクリュー固定の利点はなくなるでしょう。
6 形態修正後の粘膜面とポンティックとの移行部です。
これで、舌感不良が改善してくれればいいのですが――――。